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[ 2017/09/24 15:35 | ]
2010年10月 福岡ポエトリーVol.3

2010/10/16 (土) 18:00- 20:00 gigi
 

福岡ポエトリーVol.3

 

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朗読順
1.網野杏子さん
2.平地智さん
3.Seiaさん
4.uminekoさん(ゲスト朗読)
5.Tさん
6.みやいさとしさん
7.プル式
8.咲さん
9.今岡モンローさん
10.夏野雨


 こんにちは福岡ポエトリー、今回からは渡辺通りのgigi(ジジ)というお店に場所を移しての開催です。前までは、ちょっと会議室的なところでしたが、こんどは完全にお店の中、バーです。大人の雰囲気です。これでビールを片手に朗読、なんてこともできるぞう。ひゃっほう。

 さてさて。それではレポートです。

 まずは夏野、司会あいさつ&紹介朗読 (*以下【 】内は朗読作品タイトル)

【ぶらんこ】金子光晴

『若葉』を僕が抱くように、
おなじやうに僕を抱いて
あそんでくれた誰かがあったはずだ。

まぼろしにもうかばないその人たちを
水にもうつらないその俤を、
教へてくれる人は猶更いない。

僕が二歳で、その人たちが
七十歳であったとしても
その瞬間を 同時に生きていたのに。


(「詩集 若葉のうた」勁草書房より抜粋)


 孫についての詩です。幼子を膝にのせブランコに乗る。2歳と70歳、若さと老い、無くしてしまった勇気。同じ世界で違う二人。過去に自分を抱いた手、そして・・・。
 反戦詩や恋愛詩をたくさん書いている金子光晴ですが、孫がかわいい、という詩のなかにも、人間の営みや時間の流れを感じさせるところがさすがです。



 それではいよいよ本編です。

1.網野杏子さん
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 「透明感のある詩が好きなのだけれど私はそうじゃない。けど、それに憧れてきました」という網野さん。

【姥拾い】網野杏子
 「母なら、あの山に捨ててきました」で始まるこの詩は、一里、二里、三里と進むうちに重みを増してゆく。家族の別れ、離別、病の母とそこに近づいていく自分の距離。繰り返される「母をお山に捨てましょう」の先には母になって行く自分。自分の行く先。
 しんしんと積もってゆく雪のようなつめたさで、生活の詩は心の内側を一枚ずつはぎ取って行く。 その果てあるのは深い、黒という透明なのではないかと感じました。よい詩です。

 
 詩集も出版されている網野さん。なかなか評価の高い詩集のようです。アマゾンで購入できます。
 網野杏子詩集『あたしと一緒の墓に入ろう』草原詩社
 ISBN4-434-04981



2.平地智さん
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【川端なる宇宙】平地智
 「前から思っていたけど理系の言う事はわからない」というのがとても良い響きで、そこから川端商店街で猫と手を取るエンディング。実に映像の美しい作品でした。

【銀色の光】平地智
 明け方に開かれる扉のまぶしい光。印象の詩。

【道しるべ】平地智
 女性の目線の、まどろむ様な、日常の中の印象を優しいタッチで包み込んだ作品。

【海の蓋】吉本ばなな
 「海の蓋が開いて、閉めるのを忘れていらいそのまま」というこの詩はさすがに吉本ばななと思わせる。確かに「君の居ない世界」はふやけてぬれた繰り返しの世界なのかもしれません。

 平地さんは、福岡の冷泉荘が開催した、「冷泉ことば空間」という詩の賞で最優秀を獲得された方です。
 この冷泉荘というところ、福岡の市街地にある昭和のレトロビルなのですが、文学やアートの拠点として、評判の高い場所です。詩人の渡辺玄英さんの事務所があったりもします。また、さまざまなイベントも行われているようです。夏野&プル式はまだ行った事がありません。そのうち行ってみたいものです。いや、行かなければ!

冷泉荘のHPはこちら
→ http://www.reizensou.com/



3.SeiaさんIMG_1415.jpg










【私、総勢無限大】Seia
 私の半身があちこちに隠れている。男の、女の、部屋中のものや、場所。
 繰り返し現れる「スイッチ」から顔を出す自分、「宇宙の中で普通に恋をしたい」というそれ は、自分の中での表と裏。本当の気持ち。
 明日の自分と昨日の自分、「私」と「私を俯瞰する私」とても良い詩でした。

テキストはこちら
→ http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=226606


【青】Seia
 海、クジラ、、、海に重ねた自分、あなた。あなたとあなたへの恋の詩。とても優しい目線だと思いました。

テキストはこちら
→ http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=226755



4.uminekoさん(ゲスト朗読)

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 「自分のレベルが判らない。でも好きならいいだろう。」という、うみねこさん。恋の詩では賞をとれないよ、と過去に言われたのだとか。短歌などの伝統の詩句には恋歌というジャンルがあるものの、確かに現代詩には無い。そんな話をするうみねこさんを見ると、それでも、好きなら良いだろう、だしそれで良いと思う。

【キリバナ】umineko
 (植物は死んでいるのか生きているのか判らなくて…)
 「恋の終わりは切り花 死んでいるのかいないのか」
 恋人を失い、それでも急に枯れる事の無い心は、本当に切り花の様で、うまいなぁなんて感心ばかりしてしまったのですが、実にシンプルな恋の詩でした。

テキストはこちら
→ http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=216642


【鈴 葬(すずそう)】umineko
 「弔いの儀式にはいろいろあるらしい」で始まるこの詩は一見情景の詩の様で実は感情詩だ。というのも、実に良く映像の練られた言葉なのだ。鳥葬、風葬、石砕、そして「鈴にして欲しい」という。古びた箪笥や縁側に吊るされた風鈴の様な畳のイメージ。繰り返される景色の後に来る「思い出して鳴るだろう 自分の意志で」という言葉に込められた感情のかっこよさに脱帽。

テキストはこちら
→ http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=124147


【忘れる】柴田トヨ(「くじけないで」飛鳥新社)
 「年を重ねるたびに忘れて行く事が寂しい事と思わなくなった」忘れて行く事の幸せと最後の「ヒグラシの鳴き声の聞こえる」というエンディング。実にこうありたいと思わせる様な、詩でした。

【帰路】umineko
 「斜面を切り分けて家が建つ 父の」
父が死んで、父を思う母、そして自分の帰るところ。一つの家族というものを実によくとらえた詩でした。しみじみとしました。

テキストはこちら
→ http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=167825


「恋愛詩のイメージの強いうみねこさんでしたが、今回そのイメージが覆りました。」と夏野は言っておりましたが、今回の氏は実に大人の詩人でした。遠くからありがとうございましたっ。



5.Tさん
【いつもポケットにウサギ】umineko
 「うみねこさんが来るということだったので~」というTさん。uminekoさんの詩を読んでくれました。

「いつもポケットにウサギ」で始まる。なにこれかわいい!ってなっちゃいました。「いつもポケットにうさぎ 私も誰かに言われたらどんなにうれしいだろう」

いやー、実にかわいい朗読でした。Tさんのかわいらしい風貌とあいまって、ほんわかした空気が流れました。

テキストはこちら
→ http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=89341



6.みやいさとしさん
IMG_1431.jpg









 普段バンドをやっていて歌詞を書いているので飛び入りで読みたいと言う事でした。会田綱雄さんの『伝説』という詩が好きという事でした。いい詩ですよね。以前ベンズカフェで詩人のたちばなまことさんが朗読されていたのを思い出しました。
 しかしそこは当日参加でテキストもなかったことから、代わりに加藤登紀子さんの歌の歌詞を朗読してくれました。

【時には昔の話を】加藤登紀子
 加藤登紀子さんは実に激しい時代を生きてきた人で、その人生を走馬灯の様に駆ける詩でした。そこにある、青春の香りは、誰もが感じる懐かしさなのではないでしょうか。

【タイトルなし】みやいさとし
 断片化され言葉に成っていない”音”が次第に言葉にかわって行く。スポークンワーズの様な印象だったのですが、つながって行く力強い言葉が新しいリズムと格好良さを与えてくれました。真言のような単音から祝詞のようにつらなりがみえはじめ、文節を編むところまできたときにある種のカタルシスがありますね。

 みやいさとしさんは11/25(木)20時半から、gigiにてライブをするそうです。要チェックです。こんどはジャンべもたたいてほしいなあ。



7.プル式IMG_1438.jpg










【希望の丘】プル式
 画家の青年を描いた詩です。童話のような語り口でいながら、どこか現代風で、静かに胸に迫るものがありました。

テキストはこちら
→ http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=187060


【乞食の話】プル式

“ティースプーン2本が
 彼の人生の全てだった
 安いアルミで出来たそれは
 既に古ぼけ
 2本重ねてもぴったり合う事は無く
 カチカチと無機質な音を鳴らした   “ (一連目抜粋)

 

 スプーンを集める男の話。これも物語のような詩です。プル式さんの静かな朗読とあいまって、ぽっかりと別世界がひろがったような雰囲気になりました。

テキストはこちら
→ http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=143171



8.咲さんIMG_1440.jpg











 ロックとはなんなんだろう。

【タイトルなし】咲
 「場所は無かった 最初から一人です」「不思議と笑いがこみ上げてきた」
 孤独に壊れそうな自分との葛藤と自分をつなぐ鎖。「生き方がわからん」と叫ぶ彼女の声は、人間の心の不安を描きだす様なパフォーマンスと合わさり、観衆の心に叩き付けられる。
 和歌山から参加の咲さん。関西弁で語る彼女はたまたま福岡で他の音楽イベントに参加をしていたのだそうです。
 咲さんのHPはこちら→ http://pksp.jp/zarame/



9.今岡モンローさん

【地下水】川崎洋
 笑顔は自分の中の地下水。今は笑顔でなくても、内側にあるそれはいつか出てくる、というこの詩は、今岡さんの誕生日にお兄さんがメールで送ってくれたのだそうです。なんてすてきな。

【カナリアの声】今岡モンロー
 「内からの声が言う」カナリアの残響、残るのは白い頭蓋というこの詩は、本当に淡とした景色を生む。静かに描かれる狂気は冷静な冷たさ。詩の朗読を聞きながら生きてるのだなぁ、なんて事を考えました。



10.夏野雨
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【ジジ】

“ ねえ、ジジ
  物語の始まりに捧げる言葉を 僕はいつも思いつかない“



 会場のgigiから始まる語りは月に向かい、旅の始まりをつげる。今回から場所を新たに出発する福岡ポエトリーの門出を思わせる詩でした。

テキストはこちら
→ http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=220689



 ということで、エントリー9名+ゲストで合計10名の朗読者をむかえ、熱気溢れる夜となりました。観覧の方もいらして、店内はほぼ満員。なんということだ!そんなこんなで写真がうまくとれなかった方、すいません。精進します。(お名前、画像はすべて出演者の承諾を得てのせています。参加したいけどレポートにはのせないで!というご希望にはもちろんおこたえします。)


 福岡で詩のオープンマイクをやろう!とはじめたイベントですが、福岡在住の方だけでなく、遠くに住んでいても、偶然に、あるいははりきってやってきて、朗読をして、それぞれ帰ってゆく。当日その場にいれば、朗読できる、そこに参加できるのが、オープンマイクの醍醐味だなあ、と、今回改めて感じました。たったひとときですが、あの詩をあのひとが福岡で読んだよねー、と、いつかぼんやり思い出すような、そんな交流の場所になれたら、と思っています。
 そんなわけでまた来月も開催します。誰も来なかったらつぶれるので、どうか来てやってください。場所は、今回とおなじgigiですが、なんとgigiは11月で移転してしまいます。しかし今の店舗のすぐ近くだそうです。住所などまたお知らせします。
 次回福岡ポエトリーは、11月20日(土)15:00~17:00です。福岡の詩人を求む!


10月24日追記:
gig新店舗住所は、
〒810-0005 福岡県福岡市中央区清川1-8-10 ペンギン堂ビル3F
(薬院駅近くサニーの横の緑のビル)
だそうです!11/20からはこちらの会場になります。薬院駅徒歩3分。ご来場おまちしています。

 
 





 

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[ 2010/10/21 01:47 | Comments(2) | TrackBack(0) | レポート ]

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1. posted by すず  2010/11/02 10:53
こんにちは。9月に参加しました、すずです。
レポート読みました!
皆さんそれぞれの、エネルギーや想いが、伝わってくるような・・・。
その場に居れなかったのが、とっっても残念です・・・。

その日その時その場その人・・・。
「また今度」がない、その空間に私もいたかったです。

ではまた、参上します(^^)/~~~


2. posted by プル式  2010/11/04 10:21
すずさん、こんにちはー。次回おこしくださると言う事で楽しみにしています。次回のゲストもかなり期待出来るので、きっと前回に負けず濃密な時間になると思いますよ。
それでは、会場でお会いしましょう。。

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