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[ 2017/09/24 15:35 | ]
2011年2月 福岡ポエトリーVol.7



2011/2/19 (土) 16:00- 18:00 gigi


福岡ポエトリーVol.7

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朗読順
1.平地智さん
2.キミドリさん
3.プル式
4.Kさん
5.りょうさん
6.Seiaさん
7.夏野雨




 

 0. 夏野、司会あいさつ&紹介朗読 (*以下【 】内は朗読作品タイトル)

 IMG_2663.jpg
 

【きょう、ゆびわを】小池昌代
『 「きょう、ゆびわを」
  と言いかけて
  彼が立ちあがった
  きょうは、クリスマスである。
  その背中に
  (「あなたに、買った」)
  と構想を重ねたが
  人生は
  「道で拾った」
  と続くのだった            』
                (「小池昌代詩集」現代詩文庫 思潮社 より冒頭部分抜粋)
 なんだか愉快なでだしのこの作品、読み進めていくうちに、ことばと文章について考えさせられます。日常的な場面からはじまるのに、内容は深い。何度よんでもちがう印象がのこる詩です。

 

【敵意】小池昌代
『 「わたしを壊せ」
  というぼろぼろの犬の声が 
  山から地上へと 
  わたしへと
  一直線に吹き下りてくるとき

  幻の山道をのぼっていく
  愛のような
  みずみずしい敵意の切っ先に出会うために        』
          (「小池昌代詩集」現代詩文庫 思潮社 より抜粋)
 とくにラストがすばらしい。冬の冷たさに身をあらわれるような気持ちになりました。野犬と対峙するという横のラインのつみかさねののち、縦に吹き降ろされる鋭利な風!


1.平地智さん

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【水没する部屋】平地智
『彼』と一緒に住む事になる、許したのに断られる、『君』と一緒だと『自分』がおかしいという気がする、という感じがよかったです。人との距離、違いを判りやすく、端的に示された内容で興味深かったです。


【冬の詩】高村光太郎
『 冬だ、冬だ、何処もかも冬だ
  見わたすかぎり冬だ
  再び僕に会ひに来た硬骨な冬
  冬よ、冬よ
  躍れ、叫べ、僕の手を握れ         』
               (「高村光太郎詩集」岩波文庫 より抜粋)
 この詩は、ユニクロのCMに使われている詩です。「詩をどこまで分解すればキャッチコピーになるのかについて考えました」という朗読前のトークも考えらせられました。
 全文を聞くと力強い。詩自体がものすごく分解された詩だなぁ、と思います。見える冬を全て焼き付けたモノクロ写真は陰影が深い。



2.キミドリさん
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【パンドラ】キミドリ
 水の中の様なイメージ。手を伸ばすと、不意に開くパンドラの箱(人は開かないという)の中にある『紅い繊毛』は希望の何かなのか。開く事に『鍵はいらない』というのは、自信の『パンドラ』に対して向き合った答えなのだろうか。

【ぽろぽろ】キミドリ
 「ぽろぽろ」ジーンズのポケットの穴からいろいろこぼれる。空っぽになったポケットには何が入っているのか。

【魚の目】キミドリ
 死んだ魚の目をした女性の目にはジェラシー。『全速力で逃げろ』という終わりがかっこいい。

【春】キミドリ
『春の日ざし~ 春の~ 春だ 春が来た』と夢と現実の境い目。曖昧な季節まどろみの先に想う人。

 二回目の登場のキミドリさん。自作詩の朗読ははじめてとのこと。短い詩でしたが、ひとつひとつはっきりとした形があり、言葉が立っていました。
 トラックをつかった朗読で、聞きやすかったです。


3.プル式
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【悪い事ぁ言わねぇ】プル式
『 俺ぁね、鼻毛をね、抜いたんですよ
  そうしたらばさ
  なんともまぁ可愛らしくない
  小人がぶら下がっていてね
  それはもう凄い剣幕で怒るんですよ   』
  鼻毛の詩です。正確に言うと鼻毛と鼻毛の持ち主と鼻に住む小人の詩です。
  演劇調で、面白かったです。鼻毛、ぬいてみようかなあ。

テキストはこちら
→ http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=100785


【太陽と言うプログラム】プル式
 音の無い風景のなかに響く、カタンカタン、という静寂がとても印象的な詩です。

テキストはこちら
→ http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=227983


【風はうたう 僕はここに居る】
『 ペットボトルの風車がきゅうきゅうと鳴った  』
『 出口の無い思考は緩やかなカーブを描き
  x軸とy軸とz軸で囲まれた現実の上で
  突き当たりを探している           』
 地図をみているような、そのなかをあるいているような気持ちになりました。
 視点の置き方がいいです。

テキストはこちら
→ http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=181104




 

4.Kさん
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 愛について語る。高校の頃、愛情や友情はわかってなかった。

【H君へ】K
『 きみの 「ああ」 が好きだった 』

 H君への手紙という内容はとても静かに力強い。
 二人の積み上げた時間の大きな思い出は『居なくなった』H君へと帰り着く。
 わすれえぬ夕日が線香花火のように美しく、手からすりぬけていってしまう。
 思いだけが柔らかなベールを掛けて消えてしまった様な、美しい朗読でした。


【おやすみ スプーン】正津勉
『 おやすみ、スプーン
  わたしはおまえをそっと掌にうけて
  なんと囁いていいのか、もうわからない
  掌にあるのは、オブラートの函だけ
  おやすみ、スプーン               』
                (「おやすみ スプーン」思潮社 より抜粋)

  恋をした正津勉の詩なのだそうだ。スプーンに語りかける。「おやすみスプーン」日常にとけ込んだスプーン。
 スプーンというモチーフに映る柔らかで切ない景色と未恋。
 せつなく、かたちのない決定的な不在。そのしずけさの際立つ朗読でした。





5.りょうさん (嬢歌project) 
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 初登場、りょうさん。短歌とミニコラムを朗読してくれました。

 【ミニコラム】りょう
 街を歩く。きらきらとした、日射しの緑を感じる様な日常の切り取り(スナップ)。

【ガーネット色の水際に~】【ビルの隙間に~】【気まぐれな蝶々~】
 どれも実に繊細な歌(短歌だからね)でした。女性的な煌めきにあふれた作品たち

 りょうさんは、西日本新聞の発行している「Fukuoka BI:KI(フクオカ・ビィーキ)」というフリーペーパーの表紙を毎号短歌で飾っていらっしゃる、現在活躍中の作家さんです。


 3/6(日)午後~ 恋街短歌×朗読ミニライブを開催されるそうです。ぜひみたい!
   【開催場所】明治公園/博多駅(博多口から徒歩2分) / 観覧無料

詳細はこちら
→ 恋街短歌×SpringDays http://tannkaspring.web.fc2.com/
→まちなかアートギャラリー福岡 りょうfeat. オオツボユカリ【短歌&イラストレーション】 http://mag.diary.to/archives/2228595.html





6.Seiaさん

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  (写真は前月のものです。Seiaさんすいません。ぺこりぺこりです。)

 Seiaさん、偶然にも、りょうさんに引き続き短歌を読んでくさだいました。

【猟奇歌】夢野久作
『 無限に利く望遠鏡を
  覗いてみた
  自分の背中に蠅が止まつてゐた  』
            (「猟奇歌」創英社 より抜粋)
 一頁に一行しか無いのではないか、と思うほど濃い一言。
 猟奇歌、というタイトルから、一瞬血みどろ、、を想像しましたが、そうではなく、蛍光色の写真をみるような印象でした。

 青空文庫にも掲載されていたので、リンクをはっておきます。
「猟奇歌」夢野久作
 → http://www.aozora.gr.jp/cards/000096/files/933_22022.html


【飛べない鳥】Seia
 自由に飛べる事への怖さ。架空未来、いろいろな時間軸。ふと、自由とは自由なのか、の疑問を考える。個人の存在が曖昧になった時、そこに居る自分は本当に自分なのだろうか。

テキストはこちら
→ http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=228068


【おはよう】Seia
 夢の外の幸せ、夢の世界の幸せ。『いつ覚めても悔いの無い良い夢を』や『3、2、1、おはよう』の終わりなど、終焉に向かって行く集中、水の底の栓を抜いたかの様に吸い込まれる渦は見事。

テキストはこちら
→ http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=228427





 
7.夏野雨

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【飼い犬】夏野雨
『 俺に任せとったらよか
  何も心配せんでよか
  俺についてきたらよか
  と
  かっこよく言い放ちつつ
  実家に帰れば
  やっぱり母ちゃんの味噌汁が一番
  と思っている
  博多の男なんて大キライ                』

 自分の中の寂しさというものに関して考える。感情をめくるというより、感情をながめる(覗く)といった詩である。最終連に関して、うまい、と思う。『どちらが飼い主かわからなくなる』皆まで言うな、という手前で奇麗に纏めるからなのか、流れがそう感じさせるのか。

テキストはこちら
→ http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=227791


【青森挽歌(部分)】宮澤賢治
『 わたくしのこんなさびしい考は  
  みんなよるのためにでるのだ
  夜があけて海岸へかかるなら
  そして波がきらきら光るなら
  なにもかもみんないいかもしれない
  けれどもとし子の死んだことならば
  いまわたくしがそれを夢でないと考へて
  あたらしくぎくつとしなければならないほどの
  あんまりひどいげんじつなのだ
  感ずることのあまり新鮮にすぎるとき
  それをがいねん化することは
  きちがひにならないための
  生物体の一つの自衛作用だけれども
  いつでもまもつてばかりいてはいけない      』
          (「宮澤賢治全集<1>」ちくま文庫 より抜粋)
 


 *

 

 七回目をむかえた福岡ポエトリー、観覧のかたもふえて、にぎやかになってきました。 
 福岡近辺の朗読会情報も入るようになり、うれしく思っています。
 持ち時間5分だとすこし短い印象だったので、次回から試験的にルールを変更して、事前エントリーされた方の持ち時間を10分以内、としたいと思います。当日エントリーの方は、基本的に5分(ただし当日の人数によって10分)とします。持ち時間には、CD準備やトークの時間も含むこととします。
 次回は2011年3月19日 16:00~ です。またお会いしましょう!


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[ 2011/02/20 17:18 | Comments(0) | TrackBack(0) | レポート ]

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