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[ 2017/09/24 15:36 | ]
2011年3月 福岡ポエトリーVol.8


2011/3/19 (土) 16:00- 18:00 gigi

福岡ポエトリーVol.8
〔それでも詩をよむ僕たちは〕
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朗読順
1.網野杏子さん
2.増本大二郎さん
3.サラ・カイリイさん
4.平地智さん
5.Seiaさん
6.Kさん
7.キミドリさん
8.夏野雨






0.夏野、司会あいさつ&紹介朗読 (*以下【 】内は朗読作品タイトル)

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【まぶたよ もっと】菅谷規矩雄
『 まぶたよ もっと
  かたむく水そのつぶやきを
  まぶたよ もっと
  むらさきいろおりてくる
  まぶたよ いま
  のみこむ息おしつぶし
  くぼみへとゆくわたしをみる
  ゆめのゆめこそ             』
               (「菅谷規矩雄詩集」 現代詩文庫 思潮社 より抜粋)

 主催のひとりである夏野より、今回3月の福岡ポエトリーをチャリティー朗読会とし、義援金を受付、集ったお金を日本赤十字社 東北関東大震災義援金へ寄付すると説明がありました。

 2011年(平成23年)3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震の被害は大きく、朗読会を開催するにあたって、看過できない事態となりました。
 地震の被害の大きさ、原子力発電所などの事態が収束していないこと、などをふまえ、3月の福岡ポエトリーは開催を自粛したほうがいいのではないか、と考えたこともありました。
 しかし、朗読会を自粛し、何になるだろう、と、思い直しました。いま私たちにできることは、いつもどおりの生活をし、詩を読み、自分の思うことを語ってゆく、そして自分にできる支援をしてゆく、そんなことではないでしょうか。
 「まだうまく言葉がでてこない」「事態が進行するなか、正式なコメントはさけたい」というおもいは同じかと思いますが、いま思うこと、詩のことなど、率直に話しあう機会になればと思い、いつもどおり、朗読会を開催いたします。 
                             福岡ポエトリー主催 プル式 夏野雨

                  
 *
 

1.網野杏子さん

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 二人の詩人について話をしよう。
 福島在住の詩人・和合亮一さんについて、お話を聞かせてくださいました。
 同人誌の発刊記念で知り合った「すばらしい」が口癖の人。誕生、という詩集から、「バンザイ、バンザイ、バンザイ!」、という詩を聞いてすばらしいと思ったそうです。
 それから中原中也記念館で和合さんが朗読をされたとき、網野さんは、福岡から聴きにいかれたそうです。
 今回はその和合さんの詩集「誕生」から、「世界」という作品を読んでくださいました。
 

【世界】和合亮一       (「誕生」和合亮一 思潮社より)
 とても、命を感じる詩だなと思いました。


【関西の同人仲間の事について日記をよむ】網野杏子
 詩人はなぜ言葉を発しないのか、高村光太郎のことなど、をまじえてお話してくださいました。
 言葉は、重い。言葉を発する者には、責任がある。その重さ、責任を知っている詩人だからこそ、不用意には扱えない、でもいま、言葉を発していかなければいけないのではないか。
 実感をともなったお話と、朗読で、網野さんの気持ちが伝わってきました。





 

2. 増本大二郎さん

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【灰色の世界】増本大二郎
 生命を考える詩。見送りも何もなしに日常から灰色の世界へ旅立った友人へ。日常の中で考える生命の詩だと思いました。
 トラックを使った朗読だったのですが、スネアドラムの音が荒涼とひびき、朗読と対抗して、とても印象的な朗読でした。

 

【名無しです@よろしく】増本大二郎
 ネットを題材に、顔の見えない世界で、自分の手の外に感じる疎外感と、そこに手を伸ばし顔を出す。本当の自分とは。





3. サラ・カイリイさん
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【捧げる詩】アンバル・パスト / 【Dedicatorias】Ambar Past
『 この詩をわたしといちども寝なかった男たちに捧げます
  生まれなかったわたしの子供たちに
  誰も書かなかった詩に        
                  
  この詩を自分の子供を愛さなかった母たちに捧げます
  誰にも付き添われずに
  ホテルで死んだ人たちに

  これを壁に落書きした人に捧げます
  男に女に
  拷問された無名の人に
  ついに自分の名前さえ言わなかった人に           』



 ~に捧げます、というフレーズの繰り返す詩。ただ、~に捧げます、という様なフレーズが繰り返されて行くのだが、それが逆に降り積もる。一つ一つの生きて行く者たちの命の色と降り積もる重さ。
 世界にはなんていろんな人がいて、なんて豊かなんだろう、と思いました。
 詩の作者、アンバル・パストは、アメリカからメキシコに帰化した方だそうです。もっとこの方の作品を読んでみたいなあ。
 





4.平地智さん

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【血ん潟(ちんがた)】古賀忠昭 (「血ん穴」古賀忠昭 弦書房)
 喰らう事、生きる事、その無慈悲な”生”
 それは、生きる為に、殺す様に”死ぬ”という事と”命を続ける”という事。
 以前、この本の前半を読んでくださった平地さん、今回は後半を読んでくださいました。
 平地さんは、長崎のご出身で、作者である古賀忠昭さんの柳川弁に近い方言とのこと。体に近い言葉は、おどろくほど容易に私たちに迫ってきます。

【飴色時間】笹井宏之
『 あなたが半円形のかなしみをつくるので
  私はそこに同じおおきさの紙を
  貼らなくてはならない              』

という言葉から始まるこの詩は

『 ほんのすこし輪郭を正すとき
  私の作業は始まる                 』

 であり続く終連で

『 切り抜くのはやはり
  厚く、色の赤いものがいい             』

 と結ばれる。短い詩の中に感じさせる内面。自分にとっての、半円形とそれと同じ大きさの紙、とは何なのだろう、と、考えさせられました。





5.Seiaさん

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 3年前に書いた詩、とのことで、朗読してくださいました。

【バベル】Seia
『 心まで 拡散していくように
 風は喋って 鳥は渡して
 石は静かで 音は響いて
 花は笑って 森は諭して        
 こんなにも 世界は動いているから       』
                                     (現代詩フォーラムより抜粋)

 言葉のシンプルさ。それが連なって厚みを増して行く。天を目指すバベルになぞらえ、”地に落ちた猿”が思う世界。もどかしいことばの連なりの先に、確かな意志がみえるようでした。

テキスト(全文)はこちら
「バベル」Seia 現代詩フォーラム
→ http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=229620

 そして、一作目の朗読の後、明るい詩を読もう、と語ってくれたSeiaさん。


【フライパン】seia
 気が付くと一年前の朝に居る。その混乱の詩。終連でフライパンに触るのが、と語る事で、今、に対し、日常、に対し終着する。時間というものの不確かさについて考えました。

テキスト(全文)はこちら
「フライパン」Seia 現代詩フォーラム
→ http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=229675

【鈴の音】seia
 バイクのキーについている鈴の音。猫についている鈴の音。
 二つの鈴の音は、人々の間で入れ替わり入れ替わり小さな混乱を招く。日常の中の、本当に細い糸の様な気持ちを語った詩だと思いました。





6. Kさん

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 日常の大切さを思うけれど、読む事に対して今、抵抗を感じる、と、率直な気持ちを話してくださいました。


【その時は、いつか】K
『 自分の為にすることが
 誰かの為でないなんて
 そんなさみしい話はないよ
 誰かの為に、なりたいと願って        』
                            (現代詩フォーラムより抜粋)


 一見なんでもないような事がつながりあって”蛇口をひねった所まで優しさ”がある人になりたい。 
 その気持ちが届く様に。
 静かな朗読で、最後の鳥のところがとくに、よかったです。


テキスト(全文)はこちら
「その時は、いつか」K 現代詩フォーラム
→ http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=229531


【祝い酒】K
 君が居て僕が居る
 今そこに居ない、友人へ向けたメッセージ

テキスト(全文)はこちら
「祝い酒」K 現代詩フォーラム
→ http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=116839



【乾いてゆく風があった】K
 新しい命が生まれ、それに向かう友人への真っすぐな希望と言葉。

テキスト(全文)はこちら
「乾いてゆく風があった」K 現代詩フォーラム
→ http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=136612



 

7.キミドリ
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【つまづく地球 Stumbling Earth】長沢哲夫  (SPLASH WORDS)
『 しめった耳の
  栗の木に
  茶を飲んで
  秋の笑いの手を
  からませ
  とうもろこしの
  はききよめられた
  空をいく
  無の小石に
  つまづく 地球

  夜店の飾り窓に
  ひきこもった 海辺に
  プルトニウムのりんごがひろがる
  こわれた魚の耳の中を            
  声の
  はかりしれない孤独が
  いきすぎる                      』

 地球の迎えた朝、幻の様にそこにある死。そこから見えるもの。淡々とした描写、生活のなか、静かな、悲しみと寂しさの残る朗読でした。


【午前0時のハチドリ】キミドリ
 静かな時間、切り取られた時間。そんな詩。

 朗読が終わったあと、”元気”でいたい。誰かが助けを求めた時、助けられる様に”元気”でいたい。”元気”をだして行きましょう、と語ってくれました。今回のイベントの趣旨を上手にすくいあげてくださって、有難かったです。ありがとう。

 





8.夏野雨
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【ツィート、詩の礫 @wago2828】和合亮一

『 昨日。ガソリンスタンドに車の一列。長い長蛇が3時間ほど続くが、一度も動かず。
 一番前から伝達。「スタンドは開かない」。開くという事実すらかった。有ったのは、車の一列。
 何が、私たちを並ばせようとするのか、しーっ、余震だ。       2011.03.17 22:27    』                                            


『 父もまた あどけない  幼いきみの笑い顔から  いつか  卒業しなくてはいけないね  
  母もまた あどけない   幼いきみの泣き顔から  いつか  卒業しなくてはいけないね
                                   2011.03.18 00:15 』

『 うれしいことも   さみしいことも   そのまま うれしい  
  春のふとした今日というひとときに                  2011.03.18 00:16  』

『 あなたにとって、懐かしい街がありますか。私には懐かしい街があります。
  その街は、無くなってしまったのだけれど。言葉を。もっと、言葉を。   2011.03.19 05:06  』 

 福島在住の詩人で、今も現地で詩をかいていらっしゃる、和合亮一さんのツィート及び「詩の礫」と名付けられた詩を、ご本人に許可を得て、時間の許す限り朗読。当日会場には、ツイッターをしていない方も多くいらっしゃって、 みなさんじっと聞き入ってくださいました。
 和合さんの、一つ一つの言葉に、痛いほどの命を感じます。それはきっと、今の僕らには紡げない言葉の痛さ、切実さ。今、実際に震災にあっていらっしゃるのは和合さんなのに、こちらが逆に勇気をいただいたような、そんな気持ちになりました。
 チャリティーという今回の朗読会の主旨に賛同し、ご紹介することを快諾してくださった和合亮一さんに感謝を。

和合亮一さんのツイッターはこちら
→ http://twitter.com/wago2828




【野に立つ三月、春の背をみる】夏野雨
『 色という色は開かれ、あなたにさしだされる
  どうかその花を受けてください
  どうかその匂いを嗅いでください
  あなたの背中を見ています             
   春
     そのひび割れた殻のなかから
     やわらかくさしだされる
     すべての色を教えてください
                           』
                                 (現代詩フォーラムより全文掲載)

 僕は春と言う季節を、今ほど狂おしく感じた事があっただろうか。

「野に立つ三月、春の背をみる」夏野雨 現代詩フォーラム
→ http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=229651






 2011年3月の福岡ポエトリー、はじめての試みで、チャリティー朗読会として開催しました。東北関東大震災から1週間、「まだ言葉がでてこない。。。」というきもちのなか、それでもなんとか、みなさん言葉をさがしてくださって、 マイクの前で話し、詩を朗読してくださって、 ほんとうにありがたかったです。
 エントリー多数、観覧のかたもいらして、満員でした。
 今回、「詩を書くとは」「命とは」ということについて、さまざまに考え、不安のなか、開催したのですが、開催してみて、得たものは大きく、「せめて福岡のわたしたちが、元気をだしていこう」「もっと言葉を発していこう」という気持ちになりました。
 当日会場であつめられた義援金13,020円は、日本赤十字社 東北関東大震災義援金 に振込まれます。皆さんありがとう。(受領証の写真を後ほどこちらのブログに追記しますね。)
 参加してくださった方、遠くから応援してくださった方、そっと見守ってくださった方、ありがとう。

 来月の福岡ポエトリーは、通常どおり第3土曜日、2011年4月16日 16:00~ です。来月またお会いしましょう!
 


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〔2011年3/22 追記〕
郵便局にて、義援金振込みました!みなさまご協力をありがとうございました。
これからも義援金、復興支援につながることなど、続けてゆきたいとおもいます。

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[ 2011/03/21 21:42 | Comments(2) | TrackBack(0) | レポート ]

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1. posted by すず  2011/03/28 13:06
こんにちは。
今回も、オーディエンス参加(^^♪
色んな事があり、考えがあり、思いがあったせいか、あんまり言葉が入ってこず・・・。
そんな中、私は朗読される皆さんの、声の表現に聴き入っていました。
それぞれの個性があり、声、発声の操り方が美しく、流れが気持ちよく、ともて耳心地よく聴いていました。

詩を朗読してくれているのに、直接的な言葉ではないところに集中してしまいました。
こんな聴き方ができるのも、読んでる方の顔を見て、空気感を感じることができるからかな??贅沢ですね(*^_^*)

夏野さんの朗読する声の表現、とても好きです。
土台的な層は、とても強さを感じ、上の層は可愛らしさを感します。
(私の勝手な感想ですが・・(^^ゞ)
では、次回も楽しみにしていま~~す。
2. posted by 夏野  2011/03/30 20:06
すずさん
観に来てくださって、ありがとうございます。
貴重なオーディエンス、そして観覧者ならではの視点、
いつも新鮮です。

朗読は、いろんな聴き方があって、そこがまた魅力ですね。
(贅沢ですね^^)

私の朗読も、感想をいただいて、ありがとうございます。
うれしいです。これからも修行します(笑

また次回、お会いしましょう!

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