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[ 2017/09/24 15:34 | ]
2011年4月 福岡ポエトリーVol.9

2011/4/16 (土)16:00-18:00 gigi

福岡ポエトリーVol.9
〔春なかば〕

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朗読順
1.キミドリさん
2.プル式
3.Seiaさん
4.さおりさん
5.吉牟田 千香子さん
6.サラ・カイリイさん
7.Kさん
8.夏野雨





☆アフターセッション☆
9.キミドリさん×吉牟田千香子さん
10.オカムラヒサシさん
11.夏野雨





0.夏野、司会あいさつ&紹介朗読 (*以下【 】内は朗読作品タイトル)


・募金報告
 前回の福岡ポエトリーで集められた義援金を、日本赤十字に寄付した旨ご報告しました。


【夕方の三十分】黒田三郎
『 コンロからご飯をおろす
 卵を割ってかきまぜる
 合間にウィスキーをひと口飲む
 折り紙で赤い鶴を折る
 ネギを切る
 一畳に足りない台所につっ立ったままで
 夕方の三十分

                                』
                (「黒田三郎詩集」 現代詩文庫 思潮社 より冒頭部分抜粋)

 子供のいる家庭なら分かるかもしれない。時間に追われ不機嫌になって行く、子と親の関係。そして幸せ。実にあたたかでした。


【影】黒田三郎
『 影のなかから無言で出てゆく影がある
 
 ちいさな影がある
  影のなかへ無言で入ってゆく影がる
  ちいさな影がある
                               』
                (「黒田三郎詩集」 現代詩文庫 思潮社 より冒頭部分抜粋)

 二つの影のくっついたり、離れたり。あぁ、そうか。人はそうやって大きくなるのだな。なんて思った。
 やさしい影が、ちらちらといつまでもとどまっている、うつくしい詩です。
 

【生徒諸君に寄せる(部分)】宮澤賢治
『 新たな詩人よ
  嵐から雲から光から
  透明な新しいエネルギーを得て
  人と地球にとるべき形を暗示せよ 』

 曖昧に読んでから随分日がたって、僕には初め、なんだか分からなかった。このポエでの紹介を受け、改めて読み直して、実に良いと思ったのは、その一行、一行に、力の込められていた事だ。
 詩は形式をなして美しさを作ると同じだけ、削られた言葉の密度を一行に内包して行くのではないだろうか。 
 詩というものには幾多の種類というか表現方法があるが、オーソドックスな詩の形式表現として、この詩は実に実りの多い言葉だった。





1.キミドリさん

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【魂のいちばんおいしいところ】谷川俊太郎
『 あなたは私に今日をくれた
  失われることのない時をくれた
  りんごを実のらせた人々のほほえみと歌をくれた
  もしかすると悲しみも
  私たちの上にひろがる青空にひそむ
  あのあてどないものに逆らって             』
                             (「すてきなひとりぼっち」童話屋 より抜粋)


 優しい詩を、と語り始めるキミドリさん。声音なのか、雰囲気なのか、キミドリさんの朗読はいつもやわらかく、やさしい。まるで、春のまだ眠い日だまりにまどろむ様に。
 「あなた」と「わたし」と「世界」そこで繋がる気持ちや出来事。「魂のいちばんおいしいところ」を考えると、実に優しい気持ちになれる気がします。


【生きる】谷川俊太郎
 全ての人を包み込む(対象に含む)言葉というのは、簡単な様で本当に難しい。ひとつひとつを追いかけると、それは意味をなさず、バラけてしまう。
 谷俊のすごいところは、それを簡単に(簡単な様に)見せてくれる、という所です。愛情にあふれた言葉で。生きているという事は今の全て。それは何でもなく、何でもないという事がすばらしい。(前回サラさんが読んでくださったアンバルパストの「捧げる詩」を思い出しました。)


【春覚醒】キミドリ
 春のめまぐるしさと、きらめき。あぁ、確かに覚醒である。それは力と美しさと困惑。春の不思議な魔力というのは誰しもが感じるのだろうか。


【桜男】キミドリ
 とてもよい春の日。終焉への作り込みが逸品だと思う。景色の美しい詩。
本作は昨年のものだそうなのだが、今年も詩の中で男を燃やしたというキミドリさん。来年も燃やすのだろうか。本当に季節を感じて、感じた本人の口から紡がれる旋律は実に美しく甘い。



2.プル式
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【白を塗る】プル式
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=231382
 目の前で、絵が描かれてゆくのをみるような気持ちになりました。

【シオマネキ】プル式
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=212923
 寓話のようでかわいいようで、いつかぼんやり思い出すような作品だなあと思いました。


【カンマ】プル式
(詩と思想2011年4月号より)






3.Seiaさん

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【空から降るもの】Seia
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=231265
 突然に降ってくる見えない何か。運命なのか偶然なのか。突然に出会ったそれは何なのか。終わりに向け、少しずつ輪を狭めながら旋回する言葉。「答え」と「心」の向かい合った詩。


【空のベッド】Seia
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=231284
 祖母のお見舞いに行った際に出会った隣のベッドの人。『賑やかでいいわね』と語るそのご夫人は、見舞いにくる人がない(あるいは少ない)のだろう。『賑やかでいいわね』が実に深く杭をうつ。次には出会えなかったそのご夫人。本当に、人は死ぬときに何を思うのだろうか。死というものを静かに、しかし、強く見つめた詩でした。

 夏野いわく、「seiaワールドはすっと入ってくるのに、景色豊かに見えてくる」とのことでした。






4.さおりさん
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 2011年5月1日~5月29日まで、会場であるgigiで個展「きのこ生えました」を開催するさおりさん。
 本日たまたまお店にいらしていて、お話をきかせてくださいました。
 以前からお店に飾ってあった、きいろいとり などの粘土細工は、彼女の作だったということがわかり、うれしかったです。
 
 個展では、きのこのキャラクターを樹脂粘土で立体化し、カフェのいろんなところに展示するそうです。
 次回の福岡ポエトリーの日も、個展開催中なので、どんなきのこが生えているか、とってもたのしみです。

 さおりさんの一コマ漫画ブログ「おかえり」はこちら
 → http://okaerisaori.blog51.fc2.com/


5. 吉牟田 千香子さん
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 「いつも勇気がなくて、『又今度』、『また今度』今日の昼までそう思ってました。今日の昼にTVで見た曲の歌詞に「自分を表す事を恐れないで」と出ていたのをみて、今日のマイクの前でなにかやってみよう、と思った」とお話してくださいました。

【ロンドンデリーの歌(ダニーボーイ)】ハーモニカ演奏
 離れて行った息子の事を思い続ける、親の心境を歌った曲なのだそうで、アイルランド民謡「Londonderry Air」に、フレデリック・ウェザリが歌詞をつけたものだそうです。

 メロディとニュアンスが好きだから、と語って吹き始めた複音ハーモニカは、本当に懐かしい音色でした。それがメロディと相まって、まるで映画の中に入り込んだ様な心持ちになってしまいました。





6.サラ・カイリイさん
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【富士山】平田俊子 
『 きみが行く
  きみが行く四月
  わたしは富士の頂きに立ち
  そのまま富士と同化する
  きみが最後に見るのはわたし
  きみの記憶に残るのはわたし    』
                          (詩集「宝物」書肆山田 より 抜粋)

 行ってしまう君を思うのは、すごくつらい事なのだろう。大切であればある程、残された時間は苦しいものになるのでは無いだろうか。深い愛と悲しみ。
 散ってしまう桜に語りかけているような、せつないきもちになりました。


【スペインの王様】サラ・カイリイ
 恋人達の日常を描く。それは現代の若者達の話。切り取られた現代の若者がそこに居る。平穏ならぬ平穏。寝起きのそれは、実にスペインの王様にふさわしいのかもしれない。


朗読用に書いてくれたという新作
【私は自由になりたい】(すっと始まったから、もしかしたら違うタイトルなのかもしれない)サラ・カイリイ
 恋人との終わりをむかえ、自分の中に重りのなくなった私は空を目指してしまう。その詩を聞いたとき、彼女の中にあった「彼」をどうにも思い描いてしまう。きっと彼女の中に「彼」はまだいるのだ。だからこそ、空を見るのではないだろうか。





7.Kさん
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 3月の福岡ポエトリーで紹介した、福島市在住の詩人、和合亮一さんのツイッターを使った詩「詩の礫」のことを話してくださいました。
 そして、「ふるさとの事を聞かせて欲しい。それが力になるから」という言葉をうけ書いたという詩をよんでくださいました。


【ふるさと】K
 ぽつり、ぽつり、と語られるふるさとの情景。それは知らないはずなのに心に描く事の出来る風景。風の音、におい、そのどれもがきっと、心の奥にある風景なのでしょう。懐かしさとともに、がんばろうという小さな気持ちを貰いました。


【最果ての春】K
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=114950
 四年前に書いたのだそうだ。景色の見え方や、捉え方などさすがに絵描きさんだなぁという詩でした。色使いの美しい、若くて、少し寂しい。青春の様な詩でした。景色が見えるのが良いですよね。





8.夏野雨

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【桜天井花座敷】夏野雨 (詩と思想2011年4月号)
 この詩について思うのは宴の華やかさよりも「一人消え」「二人消え」るその寂しさ。それこそがこの詩を立ち上がらせているのだろう。
 「守られた」あたたかな空間から「立ち去る」人々はどこに向かうのか。それはきっと、守られた世界から自分の場所へかえって行くのだ。そこで感じた一瞬の幸せを胸に。


【海へ行くつもりじゃなかった】夏野雨
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=148861
 夏野雨の詩にしては珍しい作品だと思う。たんだんとして語られる景色。流れる風景と時間。風が気持ちいい。光が気持ちいい。「魚?」と目をやる一瞬。
 「海へ行くつもりじゃなかった」彼女は、どこへ向かっていたのだろう。



☆アフターセッション☆
参加者にゆとりがあり、時間が少し余ったので、ステージを解放して自由に歓談やら朗読などをしました。ここではステージを利用された方の記載をしたいと思います。





9.キミドリさん×吉牟田千香子さん
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 本日初めて参加します、といっていた吉牟田 千香子さんが、なんとキミドリさんとのセッション。キミドリさんのお誘いだったのでしょうか?それとも吉牟田さんからだったのでしょうか。
さておき。


【月からの風景】谷川俊太郎(曲:きらきらぼし)
 ひとつひとつの風景。一日の終わりの様に、月から見える風景を心に描く。それはそれは優しい語り口調で包み込む。平和を愛す。そう思える。


【今日】谷川俊太郎(曲:きらきらぼしから変わっていったと思うのだが、メモをし忘れたのか曲が分からなかったのか)
 木漏れ日の様に降る今日。きらめき。


 このお二人のセッションは実に癒し系だった。なんと言うか、低反発枕の吸い付く様なあのしっとり感、というのだろうか。柔らかに手応えがありつつ、柔軟に包み込む様な。是非また見てみたいと思いました。





10.オカムラヒサシさん
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 さきほどきのこの話をきかせてくださったさおりさんの個展の最終日、パーティで演奏されるというオカムラさん。たまたま詩集がかばんの中にあったということで、せっかくだからと参加して下さいました。
 今度平和のイベントで、福岡の事等歌われたり話されたりするにあたり、聞き取りなどされたそうで、その時に手にした詩集なのだそうです。


【炭化風景】門田照子
 福岡大空襲の日、その街で生きていた人の、命。僕ら戦争を知らない世代が忘れてはいけない事の、きっと一つだと思う。戦争も、空襲も、きっとそこに居ると慣れてしまう。あたり前になってしまう。それは、とても怖い事だ。今、この詩を読んで、頭に浮かんだのは、不謹慎かもしれないが、震災の事と原発の事。僕らに出来る事はなんだろうか。



11.夏野雨
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【水源(即興)】夏野雨
 「ながいニュースが僕らに届く」「春」「目を閉じて」「積み上げられた稲穂はあるか」
 この春は実に色々な事があり、心にささくれというか、穴というか、すかすかしたものが出来た。そんなこんなを引っ括めて、この即興詩はとても思い返すものがあった。






 今回は、その日思い立ってのフリーセッション、飛び入り参加などもあり、楽しかったです。これからも、福岡ポエトリーという場を、楽しんで、利用していただけたら、いいなあ、と思います。
 お店を提供してくださっているgigi、当日きてくださったみなさん、応援してくださったみなさん、ありがとう。
 朗読会ができるのは、とても幸運なことなのだなあ、と、しみじみ思う今日この頃です。

 次回は2011年5月21日 16:00~ です。またお会いしましょう!

 

 

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[ 2011/04/19 22:56 | Comments(0) | TrackBack(0) | レポート ]

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