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[ 2017/09/24 15:33 | ]
2011年6月 福岡ポエトリーVol.11

2011/6/18 (土)16:00-18:00 gigi
福岡ポエトリーvo.11
〔雨にうたえば〕

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朗読順
1.プル式
2.サラ・カイリイさん
3.網野杏子さん
4.長田あつとしさん
5.真山義一郎さん
6.キミドリさん
7.Seiaさん
8.夏野雨


 

0.夏野、司会あいさつ&紹介朗読 (*以下【 】内は朗読作品タイトル)

 

【イヴの唄】嵯峨信之

『 ぼくには夕方ばかりがあった
  完全な一日はなかった


  待つのはきまって僕で
  きみはいつも他の時の方へいそいだ
  そこには夜があり 暁があった
  そしてこともなく過ぎる全ての頂があった
  愛し合うとはいかなることか
  抱き合ったあとひとり呆然と立ちつくすことか

  いつものような夕方
  春雷がすばらしいカーヴで灯のはいった高層ビルを越えていった  』
(「嵯峨信之詩集」現代詩文庫 思潮社 より部分抜粋)

 なんとも心のふるえるこの一篇。冒頭で読むには、すこし長いかな?と思ったのですが、とてもよかったので、ご紹介しました。



1.プル式
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【水藻と小魚】プル式

 水藻と小魚をめぐるおはなし。ほとんどが水藻と小魚の会話でなりたっています。プル式さんのやわらかな語り口とテキストがあわさって、独特の空間が出現していました。
 



2.サラ・カイリイさん

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【思い出】柴田トヨ
 短い中に、一番幸せだった時を大切に包む手のひらの温かさを感じました。


【貯金】柴田トヨ
『 私ね 人から やさしさを貰ったら 心に貯金しておくの
  さびしくなった時は それを引き出して 元気になる

  あなたも 今から積んでおきなさい
  年金より いいわよ                  』 
 
                       (「くじけないで」飛鳥新社より抜粋)
 柴田さんのテキストを年若いサラさんが読む、というこのかんじ。年若いサラさんから年金とか貯金とかいうことばが出てくるこの感じ。とてもよかったです。幸せの貯金を眺めたい。


【接吻】サラ・カイリイ
 一日千秋の想いで部屋に居る。寂しさにつのる愛しさ。ビールの缶やタバコのにおいが、その先に居る男を思わせる。
 イメージから、匂い、景色と移りゆき、その先に見える「クリムトの接吻」の絵。とても印象的な絵画の様な詩でした。

【花咲かじいさん花咲くレディ】サラ・カイリイ
 季節を待つのではなく今咲きたい、花になりたい。とてもわかるし、多かれ少なかれ、実は誰しもが感じる事ではないだろうか。とてもチャーミングで、印象にのこる朗読でした。



3.網野杏子さん

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長靴を脱いで実は足にペディキュアをしてるのだと見せて笑う。そんなところが網野さんの魅力☆とおもう。

【梅酒】高村光太郎
『 死んだ智恵子が造つておいた瓶の梅酒は
  十年の重みにどんより澱んで光を葆(つつ)み、
  いま琥珀の杯に凝つて玉のやうだ。
  ひとりで早春の夜ふけの寒いとき、
  これをあがつてくださいと、          』

 死んだ千恵子が作り置いてくれた梅酒を少し少しと飲みながら、7年という月日の、千恵子の、優しさと思い出を飲んで行く。
 とても切なく、柔らかく、温かく、悲しく。そんな詩です。


【しりとりうた】網野杏子
『 紫陽花は雨をよけない
  だからこんなに雨の痛い日には
  紫陽花をうたおう』           (抜粋)

 しりとりで続けられて行くこの詩は、最初かわいらしい。かわいらしいのだが、段々と厳しさや現実が織り交ぜられて行く。点はつながり線になる。
 美しさと、毒。幻想と、現実。強い詩でした。


4.長田あつとしさん
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【古い日記】安井かずみ
 歌詞を改めて聞くというのは色々な発見がある。そして聞いた後、実際にテキストを見てまた、発見がある。
 歌の中にある『ha!』はどういう意味なのだろうと考える。実際には最終連にのみ記載されている様で、ジャズシンガーとして歌うとそうなのかなぁとか。個人的には、過去を鼻で笑う様な強さに聞こえている。

【私の先生】橋本敦
 『先生私は大人でしょうか』で終わるこの詩は、本当に様々なニュアンスで構成されている。色々な物事の匂いだけが色濃く、それ故に印象的な詩でした。

【白い靴下は似合わない】荒井由実
 『失くしたものなど何もないけれど』なぜ『白いくつ下もう似合わないでしょう』なのか、という所がミソだと思うのですが、それを考えに入れずとも、実に青春をにおわせる恋愛歌でした。

【帰らざる日のために】山川啓介
 『愛する人がいるなら 求めるものがあるなら なんにも怖くはないさ そいつが青春』
 実に青春でした。

【魔法の鏡】荒井由実
 会いたいけれど、という思いをぐっと押さえつけて、語らないままに語る。それはとても熱くうなされる様です。

 流行歌の朗読、という新しいパフォーマンスをみせてくれた初参加の長田あつとしさん。独特の調子で話が進み、なかなかいない存在感です。またいらしてくださいね。



5.真山義一郎さん

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「地震から3ヶ月、色々考えて、考えて、この無力さが自分なのではないか」という結論に至った、と話してくれた真山さん。
「自分を生きる、マイペースで生きる。それが分かって、やっと自分を取り戻せた気がするので、自分の原点的なものを」と選び読んで頂けました。


【愛情2】金子光晴
『 おれは六十で
  君は、十六だが、
  それでも、君は
  おれのお母さん  』
              (「金子光晴詩集」愛情69 岩波文庫 より抜粋)
 とても愛に飢えた詩。でも、平和な詩。と思いました。確かに真山さんの詩を眺めるにあたり、これは根底かもしれない。 愛情というものは、最終的に、包み込む事なのかもしれない、と、思いました。


【おっぱいがいっぱい】冬杜花代子
 「これだけおっぱいを連呼するとは」と自分でもおっしゃってましたが、これだけおっぱいを連呼するとは。
 静かに読むこの詩は、実に優しい色使いでした。登場人物の男の子の様に、驚きと不思議を感じるものだと思います。男の子にとっては。


【女の子と歩く】真山義一郎
『 港町を
  女の子と歩いていた
  正直、
  まったく楽しくない
  第一、話がまったく噛み合わない
  彼女は体育大学出の
  ばりばりの体育会系で
  本などほとんど読んだことがないという
  その点、俺ときたら
  テレビも見ずネットもせずに
  ちあきなおみなど聴く
  読書と映画とアイドルと風俗だけが趣味みたいな
  変態文科系オタク                  』(現代詩フォーラムより部分抜粋)

 お互いがお互いのことを理解しないまま進んで行く。それはなんだか真理の様な気がする。
太陽の美しさを語るその後に「おっさんになることもそう悪いことではないな」と続き、
「無論、その後、風俗に行った」と締めくくる事の潔さが綺麗だと思うし、やはり、最終連に向けて、柔らかに積み上げられる心の中の様な語りは、まっすぐに読む心に投げられる。熱さのない熱さを感じる詩でした。

 テキスト(全文)はこちら
「女の子と歩く」真山義一郎 現代詩フォーラム
→ http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=234825



6.キミドリさん

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【魚たちの家】長沢哲夫
 『水をひろえ 水をひろえ』『蛙 カマキリ、蜥蜴たち』『水はパラパラと沈んで行く』
 葉と、雨と、風と、音と。長沢哲夫さんの詩は視点がマクロだ。ミクロでマクロだ。まるで地球の息吹を感じるかの様に、紡がれて行く。

【雨の窓辺】キミドリ
 黄緑色の雨が塗炭を塗らしていくというその情景が美しい

【水を繋ぐ】キミドリ
 水を繋ぐ。互い違いに。
 とてもきれいな、情景のうかぶテキストと朗読でした。

【水の女】キミドリ
『 流されて生きることをあなたは教えてくれた 』
『 ぬれて乾いて
  繰り返してきたはずなのに  』
『 私は全てを集めて流れていく
 やがて海へ 太陽(テーダ)へ
 そしてまた
 あなたに降っていく   』
 狂おしい程の激しい愛は痛みを生み、幸福を与える。聞きながらぼんやりと、女性というものの神秘というか、そういうものを考えました。いつものキミドリさんの詩よりもぐっと、深くふみこんだテキストだなあと思いました。朗読もよかったです。



7.Seiaさん
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【回送】長澤知之
『やめやすいバイトを点々として理由を探してたけど』
 何かを追いかけると言うことは、結局のところ、何かを諦めたりすることが多い。でも諦めなければならない訳じゃない。
 どこに向かうのか、それは自分次第って感じました。ふわふわと(しかし切迫した)浮遊感の残るテキストでした。

【月の見える窓】Seia
『 月の見える筈の窓で
  曇り空を見ている
  今にも雨が降りそうな
  曇り空を見ている

  かつては男だったし
  かつては女だった

  その人が見上げている
  窓は 空は                   』(現代詩フォーラムより部分抜粋)
 その人が見ているのは何なのか、見ようとしている月は、そう考える。きっと、曇り空の向こうに何かを見ているのだと思う。

 テキスト(全文)はこちら
「月の見える窓」Seia 現代詩フォーラム
→ http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=235192



8.夏野雨
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【幻肢、伸びてゆく手足】夏野雨
『 塩が撒かれてはじめてのよる、わたしたちは眠れなかった。さざなみ さざなみ 耳と耳をくっつけて話した 何かあることの堰を超えて 水はあふれつづけた 喉で鉄が鳴っているんだ つめたく 歯は かじかみ 』
                      (「現代詩手帖2011年6月号」思潮社 より抜粋)

 

【君に花束】夏野雨
『 みずのある星が
  ひとつ見つかったんだって
  てんびん座の方角に
  二十光年のところ

  いきものがいたら
  仲よくなれるかな
  その星にいきものがいたら
  いつか遠い約束を
  僕らは思い出すのかな          』(現代詩フォーラムより部分抜粋)


 テキスト(全文)はこちら
「君に花束」夏野雨 現代詩フォーラム
→ http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=169121





 今回も、バラエティあふれるパフォーマンスでした。そのなかでぼんやりと思ったことは、地に足のついている人はつよい、ということでした。どんなに突飛にみえても、一部分をみるとあほみたいでも、しっかり自分で考えてしたことは、ちゃんとテキストや朗読になって、見ているひとに届くんだとおもいます。なんだか自分も背筋を正される気分でした。雨に唄えば、まじめなきぶん!
 さてさて次回は一周年記念です。7月16日16:00~です。またお会いしましょう!
 

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[ 2011/06/18 23:29 | Comments(0) | レポート ]

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