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[ 2017/09/24 15:34 | ]
2011年7月 福岡ポエトリーVol.12

2011/7/18 (土)16:00-18:00 gigi
福岡ポエトリーvo.12

〔一年めの夏〕
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朗読順
1.サラ・カイリイさん
2.網野杏子さん
3.真山義一郎さん
4.匿名希望さん
5.長田あつとしさん
6.田中亮子さん
7.プル式
8.大月みやさん
9.Kさん
10.Seiaさん
11.キミドリさん
12.夏野雨





 今回は福岡ポエトリー一周年ということで、サブタイトルは【一年目の夏】。
 一年前は影もかたちもしらなかった詩人たちが、いま福岡ポエトリーという場所に集まり、同じ空間で詩を朗読しています。そのふしぎを感じつつ、朗読者のみなさんに、「一年前は何をしていましたか?」と尋ねてみました。





0.夏野、司会あいさつ&紹介朗読 (*以下【 】内は朗読作品タイトル)

司会の夏野から、一周年のお礼のあいさつがありました。
そして朗読。

【プー横丁にたった家よりプーの言葉】アラン・アレクサンダー・ミルン作 石井桃子 訳
『 そのあとから出てきたがったんだよ 』
『 だから、ぼく、出るのにまかしといたんだ。
  詩をつくるにはね、それがいちばんいい方法なんだ、出るのにまかせるっていうのがね  』
                                      (「プー横丁にたった家」岩波少年文庫 岩波書店より )

 世界でも有名なはちみつ好きなくま、プーさんのお話、「くまのプーさん」の続編。トラーに食べ物を探しに行くという話の中で歌われる、トラーのために食べ物を探し疲れて困ったプーの詩とそのあとにつづく言葉。
 あぁ、なるほど。名言です。
 余談ですが、「くまのプーさん」も、この続編も、作者ミルンの1人息子、クリストファー・ロビンのために書かれたそうです。


 



1.サラ・カイリイさん
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 「去年(の今ごろ)は何もしてなかった。ほんとうにプーでした」といって会場を笑わせてくれました。「今年は禁煙をがんばろうと思う」とのことです。その意志は蜂蜜のように固いね!
 
【海水と涙の比較研究】寺山修司
『 海水一リットルと涙一リットルでは、
  どちらが塩からいか?

  にんげんが愛しあうようになってから流した涙全部と、
  地球ができてからそこに貯えられてきた海水と
  どちらの量が多いか?                』                       
         (「寺山修司少女詩集」角川文庫 角川書店より抜粋)

 寺山修司、ときくだけで、映画「田園に死す」のような、ジャーン白塗りジャーンワッハッハッハかっっくいー、といった映像がどうしても頭をよぎるのですが、この詩をサラさんが朗読すると、そういった映像を洗い流すようにシンプルな地球の映像が浮かんできました。そしてもうひとつ寺山修司の詩を。

【翼について】
『 鳥は飛ぶとき
  つばさで飛ぶが
  あなたは飛ぶとき
  何で飛びますか? 』
         (「寺山修司少女詩集」角川文庫 角川書店より抜粋)

 こちらはいかにも寺山修司っぽい(とおもう)詩。短いですが、印象に残る詩です。

【水中庭園】サラ・カイリイ
 過去という水の中で満たされた部屋の中で、力を抜いて浮かんでいる様でした。
ふと気付き手をのばす先に居る「自分」さえもが、たよりなくゆらいでいる。

【イージーガール】サラ・カイリイ
 まるで大人のアリスの様に、くるくるとしている。とても可愛いテキストと朗読でした。ポップなのもいいね!





2.網野杏子さん
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 「一年間の今頃は、何をしてましたか?」の質問に、「願い事を書きました。『福岡で詩を語れる友達が欲しい』と。それが叶いました。」と応えてくれた網野さん。福岡ポエトリーにきてくれてありがとう!
 そして金子光晴の詩を読んでくださいました。

【二人がのんだコーヒ茶碗が-山之口貘君へ】金子光晴
『 二人がのんだコーヒ茶碗が
  小さな卓のうえへのせきれない。
  友と、僕とは
  その卓にむかひあふ。

  友も、僕も、しゃべらない
  人生について、詩について、
  もうさんざん話したあとだ。
  しゃべることのつきせぬたのしさ。 』
     (「金子光晴詩集」岩波文庫 より抜粋)

 そこに居る友の存在には時間もなにも関係ない。詩友の素晴らしさよ。
 なんともおちついた、趣のある詩です。ラストもいいなあ。網野さんのしっかりとした朗読とあいまって、コーヒーのいいにおいがしてきそうでした。

【夏野雨への手紙】網野杏子
『 マヨネーズ手早くつくるには 卵と酢とサラダ油の他に なにを入れると思いますか?』 

 夏野雨をマヨネーズに例えた内容に、おもわずほっこり。マヨネーズを作る時に手早く作る方法は何か。それはマヨネーズの一滴。いままでただの材料だったもの全てがマヨネーズに変わる瞬間。全てのマヨネーズになる夏野雨。
 網野さんの福岡ポエトリーに対する愛情が伝わってきました。ありがとう。





3.真山義一郎さん
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 「去年はAKB48のえれなさんが卒業したのが悲しくて一週間泣いていた。 」と話してくれた真山さん。あいかわらずしょっぱなから真山節全開です。

【もう一編の詩】金子光晴
『 恋人よ
  たうたう僕は
  あなたのうんこになりました。

  あなたにのこりなく消化され
  あなたの滓になって
  あなたからおし出されたことに
  つゆほどの怨みもありません   』
       (「金子光晴詩集」岩波文庫 より抜粋)
 
 燃焼し尽くした男の好い詩でした。(すごい愛情だと思うんですよね/真山 談)

【居酒屋みどりで】アルチュール・ランボー
『 八日前から、小石の道で深靴を酷使し続け、ぼくは
  やっとシャルルロワに入っていた。
  ― 酒場「みどり」で、ぼくが注文したものは
  バターを塗ったパン切れと冷えた生ハムだった。』

 実にインパクトの強い愛の詩。女性を見る目がきれい。

 つづいて真山さん、「すごくセンチメンタルで恥ずかしいのですが、」と、自作の詩を読んで下さいました。

【一周年おめでとうの詩】真山義一郎
 『 これは詩だ、といえば、詩になる。だから、これは詩です。』
 居場所について語られる、率直な言葉。書くという事での幸福。書き続けるということが力強かったです。

 現代詩フォーラムという詩のサイトがあって、夏野は福岡に来る何年も前からずっとそこで真山さんの詩を拝読していたのですが、たまたま福岡に来ることになって、福岡ポエトリーを始めて、そのことによって、ご本人の詩の朗読が聞ける日が来るとは、正直に言って、ちっとも全然考えていませんでした。しかしうれしいサプライズでした。ありがとう。





5.長田あつとしさん
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【挨拶という即興】長田あつとし
「ACのCMについて大人から子供まで。子供向けは大人にも伝わるのではないか」(抜粋)というのは実に良く分かります。

【コンプレックス】長田あつとし
『もっと自由になりたい』『独りよがりしたい』
『やる事なす事全てで鬱憤をはらしたい』
煙の様に浮かんでは語られる言葉の魅力が不思議な力と熱量で魅了してくれました。

【悲劇のシンガーソングライター】長田あつとし
すごく、ノタリ、と心に引っ付く詩の語り。無理をしない語りがとてもよかったです。深夜ラジオの様にふと聴き入ってしまう感じでした。





6.田中亮子さん
 大分からきてくださった田中さん。すっと背筋の伸びたうつくしい方でした。

【炎の人-ゴッホ小伝-】三好十郎
『 ヴィンセントよ、
  貧しい貧しい心のヴィンセントよ、
  今ここに、あなたが来たい来たいと言っていた日本で
  同じように貧しい心を持った日本人が
  あなたに、ささやかな花束をささげる。
  飛んで来て、取れ。                                                    』
                                                            (「炎の人―ゴッホ小伝」而立書房より抜粋 )
  心とは何だろう。苦しみと、愛と、絵に惹かれた人。理解をされない芸術と生活とそれは今自分の中にある。ゴッホに宛た手紙の詩。もとは戯曲の一部のようですね。
 よくコントロールされた田中さんの朗読は聞きやすく、テキストのよさがすっと入ってきます。田中さんの美しい姿勢を拝見し、聞いているこちらまで背筋が伸びるかんじがしました。今日のパフォーマンスのなかでも秀逸の朗読。
 どうぞ、また、いらして、朗読をきかせてくださいね。





7.プル式
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 最近腰に手ぬぐいをつけているプル式さん、今日は詩誌「詩と思想」で佳作になったという短い詩をいくつかよみました。

【僕が少し壊れていくから】プル式
『 時計のゼンマイの音を聞く
  腕にピッタリと耳をつけて
  微かな音を逃すまいとする

  カフェの隅、雑音の中で
  それはとても不可能な気がする
  それでもその一瞬をじっと待つ  』
 しずかな圧迫感のある詩と朗読でした。

【防波堤】プル式
『 わからないのは
  底にある気持ち
  伝わらない
  静かな気持ち  』

【骨のある風景】プル式
『 鳥は黒い残像を残して空を飛ぶ
  僕の足元には幾つかの背骨が転がる
  変わる季節は紅く白く
  緑と白の面影に囚われる

  自転車が魚の様についっと泳ぎ過ぎる  』

 タイトルも印象的ですが、ぽつぽつとした朗読もまた耳に残りました。 

【朝とサイダー】プル式
『 パシパシとサイダーの様に
  洗濯バサミの沢山ついた
  名前の分からないヤツが鳴る
  朝
  窓辺の事
  ガラスの向こうは雨あがりで
  いつまた降り出すのかと     』

 ぱしぱしというおとと、洗濯バサミ、サイダーへのつながりが絶妙です。きっと夏のことなんだとおもいました。





8.大月みやさん
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 今日本屋さんで手に取った、という詩集を読んでくださいました。
 オープンマイクだと、こういう出会いもあっていいですね。

【またあした】島田雅彦
『 世界と僕は戦っている きっと世界が勝つだろう 
  僕に仲間はいるのだろうか?
  ああ 世界は今日もまた、少し 退屈になっていく

  でも君のことが好きになったから 
  冷たい空しさを まぎらしながら踊っていることにしよう

  ついでに 謎の教師に尋ねてみよう

  友達って何の役に立つんですか?            』
                             (「自由人の祈り:島田雅彦詩集」思潮社 より抜粋 )

 一人でも、一人でなくても、又明日という感じの内容で、ひょっこりひょうたん島のドンガバチョの台詞の様に「今日がダメなら 明日にしましょ」という様な気張りすぎない前向きがよかったです。





9.Kさん
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「詩は言葉であり、それを手にする事が出来るなら
重みに沈む事が出来るのではないか」 5年前、福岡に帰って来てどうだったか、話からすっと即興に入りました。

【即興】K
 もちあげられた モチーフのかかと。
 即興が、すばらしかったです。

【かき集めて】K
『 ことばは
  かけらだ
  かき集めて
  かき集めて
  つくる砂の城が
  ひかりを浴びて
  窓に飾る花の叫びだ
  レースがひるがえり
  それは、かけらだ      』

 きらきらとした中に深く沈む染みがある。美しさの中にある染みの醜い美しさ。
 青春の様にくるくると回る時間と男と女と今と。生活を切り取った詩でした。





10.Seiaさん
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「一年前、クーラーの無い夏を過ごしていました。」というSeiaさん。短い詩を3編読んででくださいました。

【名前がない!】Seia
『 名前がない

  出かけなくちゃならないのに
  服装バッチリ決まった筈なのに

  名前がない

  急いで引きだし全部開けたのに
  押し入れの布団まで出したのに

  名前がない               』(現代詩フォーラムより部分抜粋)

 私を私と証明するもの。私は何なのだろうか。
とても想像のわく作品で楽しい。

 テキスト(全文)はこちら
「名前がない!」Seia 現代詩フォーラム
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=236410


【ひまわりというゆめ】Seia
『 ひまわりばたけをぬけたさきに

  りんごのきがあって

  きのまわりをさんかいまわると

  みぎてにりんごがおちている

  ひまわりというゆめ       』(現代詩フォーラムより部分抜粋)

 これは何を示すのだろう。何を求めるのだろう。本当に伝えたい事は何だろう。
 幸せという事について考えました。

 テキスト(全文)はこちら
「ひまわりというゆめ」Seia 現代詩フォーラム
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=236666

【光】Seia
『 素晴らしく良い物を見た時の
  今なら何にだって感動出来そうな 』(現代詩フォーラムより部分抜粋)

 一瞬の印象は鮮烈に目の中に光景を描く。透明な詩。

 テキスト(全文)はこちら
「光」Seia 現代詩フォーラム
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=236490





11.キミドリさん
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 「去年はクーラーがあったけど、今年は壊れた 」というキミドリさん。トラックを使った朗読で、ことばがこちらにふみこんでくるような、印象的な声でした。

【不愉快は愉快】 キミドリ
 『黙って皮膚の溶ける音を聞く』
 とても白い詩、白い星色の詩。

【午睡の夏の午後】 キミドリ
 曖昧になっていく境界。私とあなたを繋げる柔らかなまどろみ。

【泥棒】 キミドリ
 「あなた」を見つめる目の優しさ。

【夏の沈黙】 キミドリ
 嫌いと繰り返しながら心の揺らぎに
 美しく過ぎる夏が見える。





12.夏野雨
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【リズムトーン】夏野雨
『 音楽が鳴り続けている間
  しゃべり続けることにして
  どこまでも続いていく午後のひざしのなかを
  歩いていった
  右足左足
  舗装された7月の道を
  歩き出すには
  走りだすには
 雨に濡れた空白が必要で          』(現代詩フォーラムより部分抜粋)

「一周年なので新しいことに挑戦してみたかった」と言う夏野。福岡ポエトリーではじめてトラックをつかった朗読です。
 小さく小さく鼓動を打つ。言葉を並べる縁石の上で。高く、高く。ガラスの中から必死に何かを伝える様な詩。パフォーマンスとして美しくかっこ良い朗読でした。

テキスト(全文)はこちら
「リズムトーン」夏野雨 現代詩フォーラム
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=236989

 すべてのパフォーマンスが終わった後で、「今月の福岡ポエトリーは、これで・・・(終わります」と、夏野が言ったマイクを奪って、網野さんが、「終わりません!」と言って、どこからか花束がでてきました。おまけにクラッカーも鳴ってました。福岡ポエトリー一周年を記念して、なんと参加者の方が用意してくださっていたのでした。

 そんなこんなで思わぬ花束贈呈。観覧者のすずさんからは、すてきなケーキキャンドルもいただきました。

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 思い返せば一年前、土地勘のほとんどない福岡におりたち、「参加者が(主宰の)2人でもしかたないよねー」といいつつ、福岡ポエトリーをはじめた夏野とプル式でしたが、いつでも1人はきてくれて、いまや観覧の方もあわせると10人以上がきてくれて、人数じゃないんですけれども、福岡ポエトリーというイベントは、一年でずいぶん成長したなと思います。それもこれも、参加してくださった方、参加せずとも応援してくださった方のおかげと思います。すてきなお店との出会いもあり、再会というような初対面もあり、いろんなことがありました。なかでも一番うれしかったのは、「福岡で詩を読める場所ができたことがうれしい」と、言ってくださる方達がいたことでした。

ゆるいイベントですが、月1回、なんとか続けてゆきたいと思っています。二年目という未知の領域に進むことになりますが、これからもどうぞ、福岡ポエトリーというイベントを、かわいがってやってくださいね。



 さてさて9月から、開催日が毎月第3土曜日から第4日曜日に変更になります。そして時間も16:00-19:00ごろまでと延長になります。この微妙な変わり方。どうかみなさまお間違えなく。9月は9/25(第4日曜)、10月は10/23(第4日曜)です。以降ずっと第4日曜です。

 そしてさらに次回8月のみお店の都合により8/27(第4土曜日)16:00~です。8月のみ第4土曜日ですよ!どうかお間違いなく!ゲストはなんと、福岡で福岡ポエトリーより先に開催されている詩のイベント「ドッキンポエム」の主宰者、イマハシリョヲタロウ(ドルメンズ)さんです。(ドルメンズのHPはこちら→http://www.ac.auone-net.jp/~dolmens/top.html
 どうぞおたのしみに。どなたさまもお気軽にお越しください。


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拍手[4回]

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[ 2011/07/28 00:41 | Comments(4) | レポート ]
1. posted by すず  2011/08/25 11:44
ステキな、おめでとう!ありがとう!一周年でしたね!(^^)!
私は詩の朗読には参加できないくせに、西新の頃から、顔を出させてもらい、一周年の日にも、来れて、うれしいで~す♪

皆さんの、福岡ポエトリーさんへのメッセージを聴いてると、こうゆう「場所」を作ってくれた事へ、喜びや感謝が多かったと思います。

数年前の私は、「どこにいたって私は私だよ~」って、思ってたけど、最近は、「場所」や「空間」に少し感応します。

詩人さんに囲まれた空間も、少しお尻がモゾッとするけど、新鮮で好きです。
その空間に交ぜてもらうと、私的に色んな発見があり、面白いです。

これからも、楽しみです(*^_^*)
2. posted by 夏野  2011/08/26 01:59
すずさん、ありがとう!
バースデーキャンドルもありがとう。

西新の頃からの、長いお付き合いですね。うれしいです。
詩も朗読も、そしてお店の空間も、いろんなたのしみかたがあって、
いいですね。
そして観客としての、すずさんの感想、とっても新鮮です。

また来てくださいね。お待ちしています。
3. posted by たちばなまこと  2011/09/15 12:59
行きたいなぁ。
4. posted by 夏野  2011/09/16 00:41
たちまこさん
おいでませませ!

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