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[ 2017/09/24 15:36 | ]
2011年9月 福岡ポエトリーVol.14
2011/9/25 (日)16:00-18:00 gigi
福岡ポエトリーvo.14

〔夏のせとぎわ〕

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朗読順
1.キミドリさん
2.小島香奈子さん
3.新井悠ノ介さん
4.Seiaさん
5.マッキーさん
6.龍秀美さん(ゲスト朗読)
7.増本大二郎さん
8.城島久美さん
9.網野杏子さん
10.夏野雨





0.夏野、司会あいさつ&紹介朗読 (*以下【 】内は朗読作品タイトル)

 こんにちは。9月の福岡ポエトリーです。今回は、「夏のせとぎわ」と題して、お送りしたいとおもいます。
 冒頭の紹介朗読では、司会の夏野雨が、ここ一ヶ月で最も心をときめかせた詩をご紹介しております。
 今月は、こちらの作品。

【恋ふみ海埜今日子(うみのきょうこ)
『 ぬるさのはなつこいでした
  せいちょうするおんどさでした
  かさなりのたんねんにはりめぐらされ
  はなれたねんげつをたぐりよせ
  あいぞうきんぺんでさわぐだろう
  がれきにむけてたびだったので
  わたしめがけてうけとります
  らくさふきんにしゅいろにはなつ
  やせたたよりのおとずれだった   』

(「詩集 セボネキコウ」海埜今日子 砂子屋書房より抜粋 )


 この、「セボネキコウ」という詩集、なまえもおもしろくてたのしいのですが、女のひとの情感や情念というものを、すこし透明にすくいとる、すてきな詩集です。とくにこの「恋ふみ」という詩がよくて、それは、だれかとの詩のやりとりのような、詩でなくてもはっきりとした言葉ではない、態度や他の人との会話でのーしかしあきらかにその2人に通じるところのあるーかかわりあいのような、淡くてすこしずるいような、せつない詩です。とくにとくに、ここでは引用はしませんが、6連めの、『べつのいつわをたどりましたよ』の鮮やかさ!

 




1.キミドリさん
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 キミドリさん、「サンダルがすきで、もう夏もおわったので、そろそろやめようかと思ってやめたのですが、やっぱりあつくて、今年は、半袖少年少女ではないけれど、『サンダルをいつまで履き続けられるか』ということに挑戦してみようと思っています」とお話ししてくださいました。

【ライト】キミドリ
『 右利きのわたしは 左手でとうもろこしの皮をむく
  右目が利き目のわたしは 物体を右目中心でフォーカスする
  右手が利き手のひとは 左足が利き足だ
  だからわたしは
  左足で地面を蹴ってジャンプする    』

 とてもよく考えられたテキストで、利き目、利き手、利き足、と自分のからだをたどっていって、歯医者さんの話で転調、そして単語のライト(right)の持つ二つの意味(右)と(正しい)をかけて、

 『正しいことをするto the right thingこれは社会のために、というより自分にとって、と解釈するようになったのはいつからだろうか』となげかける。しずかな、考えさせられる朗読でした。


【ループ】キミドリ
『 ぐるぐると渦巻く大きなループのなかにいた 』
 音と言葉、という言葉が響く、印象的な朗読でした。台風のとき、海のそばにいたときのことを書かれたそうです。「真横から雨がふってくるのを体感して、音楽と風と波の音で、すごくテンションがあがりました」とお話してくださいました。

 そして、アイヌ出身のアーティストの方の音源をご紹介して下さいました。
 音源は、アイヌの言葉で、ちょっとラップのような、打楽器とまざったなにか弦のひびきの楽器も鳴っていて、不思議な音楽でした。こういうご紹介も、うれしいものですね。




2.小島香奈子さん
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 初登場の小島さん。とってもキュートな方でした。
 朗読がとてもすきで、今年で朗読17年目になるという小島さん。ライブだけではなくて、目が不自由な方の朗読ボランティアや、映画の副音声などもされているそうです。
 この夏は、台湾の映画で、副音声を担当されていたそうです。映画は、カフェのストーリーで、チャ-ルという女の子の役だったそうです。映画には、おいしそうな喫茶メニューがでてくるので、リハーサルのときは、いつもカフェラテを買って、練習していたそうです。「なのでこの夏の思い出は、台湾語と、カフェラテです」と、チャーミングにお話されていました。

 ちいさなストーリーを1篇と、詩を3つ読んでくださいました。

 朗読にはいると声が深みをおび、よく訓練された、とても聞きやすいパフォーマンスでした。内容も柔らかく、とっても安心してたのしませていただきました。音楽も効果的で、しっとりと、深夜ラジオ「ジェットストリーム」のようにココロが持っていかれます。
 朗読が好き、ということが伝わってきました。来てくださってありがとうございます。 また、いらしてくださいね!





3.新井悠ノ介さん
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 当日エントリーの新井さん、世界のあちこちを旅したり、海外に住まれたりしていたそうです。
 今回、サブタイトル「夏のせとぎわ」にちなんで、昔書かれた「夏の終わり」という詩を朗読してくださいました。

【夏のおわり】新井悠ノ介
『 アスファルトゆらぐ蜃気楼
  擦りきれたソール
  照り返し
  路面をとらえ
  地面をとらえ繰り返しジャンプするジャイブする  』
(「WONDERFUL」新井悠ノ介 七月堂より抜粋)
 異国の川(ー実際の川でなくて光のながれのようなー)の風景がたちあがり、短いのにとても印象的な朗読でした。

 もうひとつ、ラオスにいらっしゃったときに書かれた詩を朗読してくださいました。

【シンクロニシティ】新井悠ノ介
『 絶えず点滅する夕陽が地平を超えぼくたちを置き去りにするころ
  湿った夜風が頬をなでて身体のなかで明滅する電子たちがゆるやかに流れてこの惑星がゆらぎはじめる  』
(「WONDERFUL」新井悠ノ介 七月堂より抜粋)
 たたみかける言葉は、何か移動しているもの、映像だけではなくて、どんどん流れてゆく心情をつぎつぎとうつしとってゆくようでした。 聴いていると、自分が川になって流れてしまうんじゃないかと思いました。

 初登場、といっても百戦錬磨の印象の新井さん。福岡でこんな方にお会いできるとはうれしいです。
 またいらしてくださいね。





4.Seiaさん
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 今年は花火をみていない、というSeiaさん、2つの詩を朗読してくださいました。

【洗濯機 チャンネル ストロー】Seia
『  「ヒーローあらわる!」と書かれた
  スポーツ紙 一面を見ながら
  コーヒーをすすり パンを食む
  昨日の疲れがまだ残ってる       』
 Seiaさんにはめずらしい、 ぐるぐる 言葉がまわる詩。ぐるぐる、ぐだぐだ、という言葉が何度もでてきますが、朗読をきいていると、手洗いモードの洗濯機の中にほおりこまれたように、ぐるぐるとしたあたまのなかのように、ぐるぐるとします。
 そのなかで、ヒーローになってくれた誰か、ヒール(悪役)になってくれた誰か、と、きっとこない終わりの、みつどもえが、色づいているようです。

テキスト(全文)はこちら
「洗濯機チャンネル ストロー 」Seia 現代詩フォーラム
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=240614


【夏のさりぎわ】Seia
『 ヒグラシの虫かごを片付けながら
  また来ますよ と夏が言ったので
  私は わかってますよ と返した   』
 ヒグラシ、入道雲、夕立、そして朝顔と夏が丸まって小さくなる。その背をみるさみしさと、スズムシを迎えるちょっとほっとしたかんじ、ことばが的確で、ひろがって、とてもすてきな朗読でした。これぞSeiaワールド!

テキスト(全文)はこちら
「夏のさりぎわ」Seia 現代詩フォーラム
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=240559





5.マッキーさん
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 佐賀から来てくださいましたマッキーさん。いつも観覧だけだったのですが、今回初めて朗読してくださいました。

【ごきぶり】マッキー
『 ごきぶりの色やん
  ごきぶりの車やねと彼は言った
  テニスの練習に遅れてきた女性の車のことだ
  もっと別の言い方があるのではと思っていたが
  黒褐色のその車を見ていると
  ごきぶり色にだんだん見えてきた          』

 ユーモアあふれる朗読でした。マッキーさんの朴訥とした語り口もあいまって、独特のおかしみをかもしだしていました。ひねりもあって、きかせる朗読でした。
 
 マッキーさんは、こんど佐賀でも詩の朗読会をされるそうです。以前も佐賀の詩人の方がきてくださったことがあったのですが、福岡にもちかいし、活気のあるところなんですね。これからもよろしくおねがいします。

 佐賀の朗読会等の詳細情報はこちら↓ 
 佐賀なわての会のブログ 「なわてⅡ」
 http://blog.goo.ne.jp/2011sinawate





6.龍秀美さん(ゲスト朗読)
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 今月シークレットゲストの龍秀美さん。詩集『TAIWAN』で第50回H氏賞(2000年)を受賞された実力派です。
 今回は、7年前の9月に亡くなられた親友の方の詩と、ご自身の詩を朗読してくださいました。

【この地上】杉真理子 
『 大きな川の畔に座って
  夕陽を見ていた
  それはゆっくりと
  たとえば
  わたしたちの
  最後の一日のように
  ためらいがちに落ちていった   』
( 「秋日和ー詩集」杉真理子 書肆侃侃房より抜粋)

 しみいるような、しずかな朗読で、秋、というもののしずかさ、さみしさ、そしてやさしさを思いました。ありがとうございます。

 【冬芋夏魚(とうしょかぎょ)】龍秀美
『 テレビ番組のクイズで
  夏の風物詩 金魚すくいのおじさんは 冬は何をしているのでしょう
  という問題がでた
  そういえば小学校のとき
  父親の職業欄に 夏の仕事を書くか 冬の仕事を書くか 悩んだものだった 
  夏は金魚すくい 冬は焼き芋や
  このふたつの職業はワンセットなのだ 』
 ( 「冬芋夏魚」龍秀美 より抜粋)
 夏、ひらひらと泳ぐ金魚。ちいさいころ葬式の旗持ちをしたというお父さんの手の先にはためくであろう旗。冬、地中にうまっている芋。国家、台湾の芋。家族。
  頭の上にはためく旗、金魚の、ひらひらとしたきれいな部分と、それにつながる芋、根の部分が同時に描かれていて、とても印象的な朗読でした。ありがとうございます。またぜひ、気軽にいらしてくださいね。

 



7.増本大二郎さん
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 さて、おひさしぶりの増本さん。というかすっかり常連ですね!(嬉

【びいどろ】増本大二郎
『 鉛の春に知覚をくすぐり はじっこのうたをなだめあかす
  ああ 今日も晴れた名前は てのひらの鉄道を渡る   』

『 鉛の春に登録番号07-06-06の太陽が降る         』

 厚く曇った雲の下にいるような、鈍い色の朗読。
 「詩とは何だろうと考える事があります。その答えはまだでておりませんけれども、ごんべんに寺、言葉の駆け込み寺、心の駆け込み寺のようなものではないかと考え、アンニュイといいますか、ちょっと暗い詩を書く事がおおいとおもいますけれども、ご了承いただければと思います」とお話してくださった増本さん。詩と向かい合う真剣な姿を感じます。

 朗読も滑舌よくたいへん聞きやすかったです。テキストはざらざらとした質感の語句が多く登場しますが、時折さしはさまれる情、のようなものが、アクセントとして利いていると思いました。





8.城島久美さん
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【自由(リベルテ)】ポール・エリュアール
『 小学校のノートに
  ぼくの机に、木々に
  砂に、雪に
  ぼくは君の名前を書こう

  読んだすべてページに
  白いすべてのページに
  石に、血に、紙に、灰に
  ぼくは君の名前を書こう

  金ぴかの肖像に
  戦士の武器に
  王様の冠に
  ぼくは君の名前を書こう
 
  ジャングルに、砂漠に
  獣や鳥の巣に、エニシダに
  子供時代の木霊に
  ぼくは君の名前を書こう

  夜の素晴らしい時に
  昼の白いパンに
  婚約した季節に
  ぼくは君の名前を書こう      』

『 そして、ひとつの言葉の力で
  ぼくはまた人生を始める
  ほくは君を知るために生まれた
  君に名づけるために

  自由(リベルテ)と。         』

( 「自由(リベルテ)」ポール・エリュアール より抜粋)

 なんていい詩なんだ、、とおもいつつ、城島さんの朗読をきいていました。
 堂々とした朗読で、詩のよさが伝わってきました。
 ポール・エリュアールの詩をたぶんはじめて聞きました。ふだん自分ではなかなかふれないだろう名作の朗読がきけるというのも、オープンマイクならではですね。ありがとうございました。またいらしてくださいね。





9.網野杏子さん
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【林家】荒川洋治 
『 二人は温泉に来たのに
  崖に近づき
  だんだんぼくの好きな人になる   』
( 「坑夫トッチルは電気をつけた」荒川洋治 彼方社 より抜粋 )
 林家こぶ平と林家ペー、林家パー子のことを書いた詩。聴いていて、はじめ「この人は政治家だったのか。。」とおもったのですが、だんだん進んでいくうちに そうではなくて、詩のことなんだな、とわかり、わかってきたころに、ああこのひとはまだなにかあきらめていないんだな、という感想をもちました。
 あじわいぶかい朗読でした。もっと何回もきいてみたいです。ありがとうございました。

【夏のせとぎわ】網野杏子
『 日差しがやきつくすことを忘れてくれて
  やっと 靴を履く
  外壁に青い薔薇が埋め込まれたマンションをでる
  腰の重さは 名前の重さだ
  さだめの名 あらがいの名         』

 名前というものがひとつの生き物のように、自分が飼う生き物のように、あるいは自分の飼い主のように感じられる朗読でした。
 自分の名前を自分でつけるということは、あまりないようで、現代社会においては、わりと必要になることがあります。mixiだったりツイッターのアカウントだったり、あるいはメールアドレスだったり、ペンネームだったり、いろいろですが、その、自分で名前をつける、ある意味での覚悟、とか矜持みたいなものを強く感じる朗読でした。それから名前と悪魔祓いは、やっぱり切り離せないなあ、と思ったのでした。最後にでてくるカラスも◎





10.夏野雨
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(写真がなくて10月のものです汗)

【こんぺいとう】夏野雨
『 つるつる
  とげとげ
  ぱしぱし
  ころん

  まるいかたちの
  こんぺいとう
  ちいさな涙で
  できています    』

テキスト(全文)はこちら
「こんぺいとう 」夏野雨 現代詩フォーラム
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=135643


【砂と時計】夏野雨
『 区切られていたのは砂であって
  ぼくたちではなかった
  ちいさな時計をひっくりかえす
  坂道だけがあればよかった
  スロウ スロウリィ スリープ ライト  』

テキスト(全文)はこちら
「砂と時計」夏野雨 現代詩フォーラム
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=203876



 日曜日に引っ越してのはじめての回でしたが、来場者の方にめぐまれ、ほんとうによかったです。初登場の方がおおくいらして、でも百戦錬磨だったりして、驚きとおもわぬ喜びもありました。それぞれの個性あふれるパフォーマンス、たのしかったです。そしてシークレットゲストとしてきてくださった龍秀美さん、ありがとうございました!

 さて次回も第4日曜日、10/23(日)16:00~です。またお会いしましょう!

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[ 2011/09/25 12:36 | Comments(0) | レポート ]

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